相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案
法案の提出
令和3年3月5日、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(204回国会閣法第56号)が提出されました。
法案の概要
同時に提出された民法等の一部を改正する法律案(閣法第55号)とセットで、所有者不明土地対策関連の法案となります。
社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地が増加していることに鑑みて、相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けてその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設するものとしています。
ただ、実際に法案の中身を見ると、所有権を国庫に帰属するには、10年分の土地管理費相当額を納付する必要があり(第10条)、手放すにしても相応の対価が支払われなければなりません。
この金額が多いのか少ないのかは、今後の運用を見て判断されるのでしょうが、素人感覚からすると、10年分の管理費って結構するんじゃない?という気がします。
可決・成立
この法律案は、令和3年4月21日の参議院本会議で可決、成立しました。
民法等の一部を改正する法律案
法案の提出
令和3年3月5日、民法等の一部を改正する法律案(204回国会閣法第55号)が提出されました。
法案の概要
所有者不明土地の増加等の社会経済情勢の変化に鑑みて、①相隣関係及び共有物の利用・管理に関する規定の整備、②所有者不明土地管理命令等の制度の創設、③具体的相続分による遺産分割を求めることができる期間の制限等に関する規定の整備、④相続等による所有権の移転の登記の申請を相続人に義務付ける規定の創設等が行われています。
①~③は民法の改正、④は不動産登記法の改正です。③は、かなり細かい規定が民法に書き込まれています。債権法改正前に民法を学習した世代にとっては、このレベルの規定が民法に登場するのはまだ慣れませんね…
可決・成立
この法律案は、令和3年4月21日の参議院本会議で可決、成立しました。
国家公務員法等の一部を改正する法律案
法案の提出
令和3年4月13日、国家公務員法等の一部を改正する法律案(204回国会閣法第63号)が提出されました。
法案の概要
国家公務員の定年を段階的に年齢65歳に引き上げるとともに、管理監督職勤務上限年齢による降任・転任(役職定年制)や定年前再任用短時間勤務の制度を設けるほか、年齢60歳を超える職員に係る給与・退職手当に関する特例を設けるといった措置が講じられています。
昨年提出され、廃案となった「国家公務員法等の一部を改正する法律案」(201回国会52号)から、検察官の定年延長の特例に関係する部分を削除した内容となっています。
通常の国家公務員では認められている、定年による退職の特例(国家公務員法81条の7)なども適用除外となっています(検察庁法22条2項)。
デジタル庁設置法案
法案の提出
令和3年(2021年)2月9日、デジタル庁設置法案(204回国会閣法第27号)が提出されました。
法案の概要
第204回国会の目玉である、いわゆるデジタル改革関連法案の一つです。
デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助けるとともに、デジタル社会の形成に関する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを任務とするデジタル庁を設置することとし、その所掌事務及び組織に関する事項を定めています。
「庁」というと、内閣府や各省の「外局」として置かれるものが頭に思い浮かびますが(金融庁、消費者庁、消防庁、気象庁、文化庁など)、デジタル庁は、このような府省の外局ではなく、復興庁と同様の内閣補助部局となっています(内閣法12条第4項)。
法律の大まかな構成も、復興庁設置法と同じです。
ただし、復興庁は、令和13年3月31日に廃止する旨の規定が置かれているのに対して(第21条)、こちらではそのような規定はありません。
デジタル社会形成基本法案
法案の提出
令和3年(2021年)2月9日、デジタル社会形成基本法案(204回国会閣法第26号)が提出されました。
法案の概要
第204回国会の目玉である、いわゆるデジタル改革関連法案の一つです。
デジタル社会の形成に関して、
- 基本理念
- 施策の策定に係る基本方針
- 国、地方公共団体及び事業者の責務
- デジタル庁の設置
- 重点計画の作成
について定めています。
重点計画の作成は少し特徴的ですが、基本的には、一般的な基本法のメニューが並んでいると思います。
なお、この法律の成立に伴い、高速インターネット網の整備を目指した高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(いわゆる『IT基本法』)が廃止されています。
住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案
法案の提出
令和3年(2021年)2月5日、住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(204回国会閣法第25号)が提出されました。