産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案

法案の提出

令和3年(2021年)2月5日、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案(204回国会閣法第23号)が提出されました。

法案の概要

 

新型コロナウイルス感染症の影響、急激な人口の減少等の短期及び中長期の経済社会情勢の変化に適切に対応して、我が国産業の持続的な発展を図るため、

  • ①情報技術の進展、②エネルギーの利用による環境への負荷の低減等に対応する事業変更を行おうとする者についての計画認定制度の創設
  • 経営革新計画の承認制度等の対象事業者に係る要件の見直し
  • 下請中小企業の取引機会を創出する者の認定制度の創設

等の改正が行われています。

このほか、場所の定めのない株主総会、要は、オンラインのみでの株主総会が特例的に認められており(改正後の産業競争力強化法第66条)、今後の株主総会の運営の在り方にも大きな影響が出てくるかもしれません。

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案

法案の提出

令和3年(2021年)2月5日、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案(204回国会閣法第22号)が提出されました。

法案の概要

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法は、国が、集団予防接種の際の注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した者等に対して、給付金及び訴訟手当金を支払うことを定めた法律です。

この給付金等の請求は、法律の施行日から起算して十年を経過する日(=令和4年1月12日)までしなければならないとされていますが、請求があまり行われていないことを踏まえて、この期限を令和9年3月31日まで延長することにしています。

全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案

法案の提出

令和3年(2021年)2月5日、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(204回国会閣法第21号)が提出されました。

法案の概要

従前の我が国の社会保障制度は、現役世代への給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というものでした。

今回の改正では、これを見直し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するものです。

改正内容は多岐にわたりますが、日常生活を送るに当たって大きな影響がありそうなのは、次の2点でしょうか。

後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し

現行法では、ざっくり言うと、現役並み所得者であれば3割、それ以外は1割負担となっていました。

今回の改正では、現役並み所得者以外でも、一定の所得があるものについては、2割負担とされています(改正後の高齢者の医療の確保に関する法律第67条第1項第2号)。

育児休業中の保険料の免除要件の見直し

育児休業等をしている人の保険料について、現行法では、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月の保険料の徴収を免除することになっています。

例えば、①3月2日~31日まで育児休業、4月1日に復帰した場合は、3月分の保険料が免除となります。②3月2日~30日まで育児休業、3月31日に復帰した場合は、上記の「育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月」が2月となってしまうため、保険料が徴収されてしまいます。

今回の改正では、上記の②のようなケースについても、保険料の免除が認められるよう、次のような改正が行われています。

すなわち、育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が14日以上である場合は、当該月の保険料の徴収を免除するものとしています。

要は、同じ月の中で、育休に入る→復帰する場合でも、2週間以上の期間休業していれば、保険料が免除されるようになります。

 

こちらは、育児休業者にとってありがたい改正ですが、逆に、賞与に係る保険料については、厳格化されました。

上で説明したとおり、現行法は、月さえまたいでいれば、休業期間が短くとも免除が受けられることになっていますが、この免除の対象は、毎月の給与だけでなく、賞与に係る保険料も含まれます。

改正後は、この賞与に係る保険料の免除については、休業期間が1月以下の場合には、認められないことになりました。   (改正後の健康保険法第159条第1項等)

 

育児休業を保険料免除のツールとして利用(悪用?)する例が見られるため、その対応ということなのかもしれません。

ただ、月々の給与については、月さえまたげば短期でも保険料が免除される仕組みは変わりません。

育児を支えるための制度ですので、本来とは異なる目的で利用されることがないよう、適切に運用されてほしいものです。

 

良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案

法案の提出

令和3年(2021年)2月2日、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案(204回国会閣法第17号)が提出されました。