国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案

法案の提出

令和3年(2021年)1月18日、国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案(204回国会閣法第5号)が提出されました。

法案の概要

科学技術振興機構とは?

国立研究開発法人科学技術振興機構は、文部科学省所管の国立研究開発法人で、英語の略称は、JSTJapan Science and Technology Agency)です。

①新技術の創出に資することとなる科学技術に関する基礎研究、基盤的研究開発、新技術の企業化開発等の業務や②我が国における科学技術情報に関する中枢的機関としての科学技術情報の流通に関する業務など、科学技術の振興のための基盤の整備に関する業務を総合的に行うとされています(機構法第4条)。

改正の趣旨

もともとJSTは、国内の研究者に対して、研究資金を配分することを通じた支援を行ってきました。

今回の改正では、政府出資や財政融資資金借入等により調達した資金を運用して、国際的に卓越した科学技術に関する研究環境の整備充実や優秀な若手研究者の育成等に資する活動への助成が行うことができるようになっています。

海外では、大学ごとに基金を作って研究を支援しているようですが、日本では各大学にそこまでの財源がないため、文科省の下で各大学から寄託された資金をJSTが運用し(運用業務)、その運用益を我が国の研究者へのサポートに充てる(助成業務)ことにしています。

JSTの目的の追加

JSTの目的を定める機構法第4条と業務の範囲を定める第23条に、運用業務・助成業務を追加しています。

資金の調達

運用の基となる資金は、大学からの資金拠出だけでなく、政府出資(第6条第2項・第3項)、財政融資資金借入(改正後の附則第5条の3)、民間からの長期借入・JST債券の発行(改正後の第33条~第35条)により、調達することになっています。

資金の活用

金融商品取引業者との投資一任契約を活用した信託等により、運用されることになっています(改正後の第26条・第27条)

運用の管理

運用に当たっては、文部科学大臣が基本指針を定めてJSTに示し、これに基づいてJSTは運用方針を作成して、文部科学大臣の認可を受けなければならないとされています(改正後の第28条~第30条)。

基本指針は、「長期的な観点から安全かつ効率的に行われるようにするため」とされています(改正後の第28条)。

また、このような運用業務を行うに当たって、JSTに金融のプロを資金運用担当の理事等を置くことになっています(改正後の第10条~)。